季刊・家庭の薬膳 季節のすこやか食養生

白露の頃の食養生

毎年9月7日もしくは8日が「白露」にあたり、これを過ぎると本格的な秋が訪れます。朝夕の気温が下がり、草に降りた朝露が光って白く見えることから白露と呼ばれます。

この頃から急に気温が下がり、空気も乾燥してきます。
一見涼しくなり過ごしやすそうですが、気温・湿度共に急激に変化するため、実は身体にとっては負担のかかる時期でもあります。

長く厳しい暑さの夏の間に体内に溜まった余熱の量は最大限に達しています。
それに加え、空気が急に乾燥するため、白露の時期には粘膜が弱り、咳やのどの痛みに悩まされる人が増えるようです。

今の季節におすすめの食材は、なんといっても果物、中でも特におすすめなのは梨です。
暑さと乾燥で弱った粘膜と肺に潤いを与え、咳などを予防します。

その他には、白きくらげ、山芋、はと麦、れんこん、なすび、大根などの白い食材をとることをおすすめします。
大根は本来は冬に旬を迎える根菜ですが、殺菌作用に優れ、咳やのどの炎症を抑えるはたらきがあることから、秋から食べ始めるのがよいでしょう。

それでも予防しきれず、実際に咳が出たり、のどが痛くなった場合は、上記の白い食材に加えて、黄色い食材を一緒に摂りましょう。
かぼちゃなどのβカロテンを含んだ野菜は、痛んだ粘膜の修復を促します。

また、空気が乾燥し始めるこの頃より、皮膚炎やアトピーなど、皮膚のかゆみの症状が強くなったりします。
これを防ぐため、中国では白露の期間(約2週間)は、加熱して赤くなる海のもの(蟹、えび、たこ)を食べないように心がけます。

また、身体を温めすぎるとかゆみが増すため、湯船につかるのは控えてシャワーを浴びるにとどめたり、入浴後にいつもよりもたっぷりと保湿クリームを塗るようしましょう。

本格的に寒くなるのはまだまだ先ですが、白露の頃には夏の疲れをしっかりと癒し、少しずつ寒さに備える身体作りを始める期間だということを覚えておきましょう。


このページの内容は、中国の昔からの民間療法や、年配の方から伝え聞いた話を基に構成しています。
病気やその他の疾患に、必ず効果があることを保証する訳ではないことをご了承下さい。

15.Sep.2012